■概要
3M Company(スリーエム)は、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール郊外のメープルウッドに本拠地を置く、世界的化学・電気素材メーカーです。社名の由来はMinnesota Mining & Manufacturing Co.(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社)から来ています。
ポストイットといった生活に密着した商品から、医療用接着剤、自動車部品など、あらゆる分野への多角化を進め、様々な製品で競争力を高めてきたコングロマリットです。参考にスリーエムジャパンで取り扱っている商品のリンクを紹介します。
連続増配は60年近くとなっており、株主重視かつ収益性の高い企業です。
セクターは資本財セクターで、基本的には好不況の波を受けますが、あらゆる商品を取り扱っているコングロマリットであることから、通常の資本財セクターの銘柄とはやや毛色が異なる面があります。
ここ20年の値動きはこんな感じです。
2017年にピークをつけてから、株価はやや伸び悩んでいる印象です。
■財務データ
次に財務データを見ていきたいと思います。
まずは売上高と収益性を見ていきましょう。
(million US $) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
売上高 | 32,765 | 32,136 | 32,184 | 35,355 |
売上総利益率 | 49% | 47% | 48% | 47% |
営業利益率 | 22% | 19% | 22% | 21% |
利益率 | 16% | 14% | 17% | 17% |
売上がここ数年伸び悩んでいるのですが、注目すべきは売上高純利益率(粗利率)の高さです。
資本財セクターは粗利率が10%台の銘柄も多く、20%に乗っていれば優秀といった感じですので、資本財セクターでありながら粗利率40%超えをコンスタントに叩き出していることは特筆すべき点でしょう。コロナ渦でありながら売上高が伸びている点にも注目です。これは資本財セクターでありながら商品の多角化に成功しており、ヘルスケア関連や生活必需品の販売にも力を入れているからです。
製品別の売上シェアは以下のようになっています。
ヘルスケア、一般消費者向け製品が売上高の3分の1以上を占めており、収益の安定に寄与していると考えられます。
地域別の売上高は米国内、米国外が半々で国外のうち半分がアジアといった割合になっています。
次にキャッシュフローをみていきましょう。
(million US $) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
営業活動によるキャッシュフロー | 6,439 | 7,070 | 8,113 | 7,454 |
投資活動によるキャッシュフロー | -1,577 | -1,699 | -1,501 | -1,603 |
財務活動によるキャッシュフロー | -6,861 | -1,126 | -5,252 | -6,207 |
フリーキャッシュフロー | 4,862 | 5,371 | 6,612 | 5,851 |
売上が伸び悩んでいることから、営業活動によるキャッシュフローも伸び悩んではいますが、
フリーキャッシュフローは安定しており、配当余力もまだまだあると言えます。
次にバランスシートを見ていきましょう。
(million US $) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
流動資産 | 13,709 | 12,971 | 14,982 | 15,403 |
非流動資産 | 22,791 | 31,688 | 32,362 | 31,669 |
流動負債 | 7,244 | 9,222 | 7,948 | 9,035 |
固定負債 | 19,408 | 25,311 | 26,465 | 22,920 |
自己資本 | 9,848 | 10,126 | 12,931 | 15,117 |
総債務/総資本比率 | 148.5 | 210.3 | 152.9 | 121.2 |
債務比率も特段高くはなく、バランスシート見る分には特に言及することはなさそうです。
最後に各種レシオを見ていきましょう。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
P/E | 18.8x | 19.7x | 19.7x | 17.3x |
P/B | 11.2x | 10.1x | 7.8x | 6.8x |
配当利回り | 2.90% | 3.30% | 3.40% | 3.30% |
配当性向 | 52.33% | 63.24% | 65.68% | 56.92% |
売上高の伸びが鈍化していることから、株価も伸び悩んでおり、P/Eは17.3とS&P500全体のP/E 23.0よりも割安です。配当利回りは一時的に4%を超える場面もあり、魅力的な水準と言えます。配当性向は50%台とまだ余裕はありますので、配当狙いの投資家には魅力的な銘柄かと思います。
かっぴは配当利回りが4%を超えたタイミングでポートフォリオに買い足しました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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