はじめに:ようこそ、Life Hack Labへ
このブログは、理系大学院卒のバックグラウンドによる「テクノロジーへの深い理解」と、元・債券ディーラーとしての「債券投資家の知見」を掛け合わせ、企業の競争優位性(Moat)を読み解き、投資の力で人生(Life)を、攻略(Hack)するための研究室(Lab)です。
今でこそ、こうして偉そうに「投資」や「ライフハック」について発信していますが、かつての私は資産形成とは程遠い、ただの浪費家でした。 そんな私がなぜ、難解な企業分析にのめり込み、株式投資で人生を劇的に変えることができたのか。
少し長くなりますが、このブログの原点となる私のストーリーをお話しさせてください。
原点:「閉ざされた研究室」と「大都会への憧れ」
私のキャリアの原点は、金融街ではなく、大学の研究室にあります。
理系大学院生時代の私は、朝から晩まで研究に没頭していました。 複雑な数式を読み解き、実験データを解析し、仮説を検証する。特に、日々進化する「テクノロジー」が世界をどう書き換えていくのか、そのメカニズム(技術的背景)を理解することに、知的な興奮を感じていました。
しかしその一方で、心の中には「ある種の閉塞感」も抱えていました。
研究室に閉じこもり、来る日も来る日もたった一つの事象を突き詰める日々。 「研究は楽しい。でも、このまま一生、この閉ざされた研究室で終わっていいのか?」
ふとしたきっかけで投資銀行のインターンシップに参加し、オフィス街に来てみるとそこには私の知らない広い世界が広がっていました。 当時の私は、正直に言えば「大都会のオフィス街」に漠然とした憧れを持っていました。高層ビルが立ち並ぶ中でバリバリと働き、しっかりとお金を稼ぎたい。
そして何より、「マーケット」という場所に惹かれていました。 そこは、政治、経済、そして私の大好きなテクノロジー、その全てが交錯し、リアルタイムで世界が動く場所です。 「研究室にこもって世界の一部しか見ない人生よりも、マーケットを通じていろいろな世界を知る人生がいい」
「あくなき好奇心」と「資本主義への野心」。 この2つを満たせる場所こそが金融業界だと感じ、私は研究室を飛び出して金融街への扉を叩きました。
債券ディーラー、「ゼロサム」の戦場にて
最初に飛び込んだのは、証券会社の「債券ディーラー」という職種でした。 そこは、秒単位で世界のマネーが動き、一瞬の判断ミスが致命傷になる最前線でした。
入社数年目の若造なのに数千億円単位のお金を動かす日々。画面上のチャートと金利(イールドカーブ)の歪みだけを頼りに、コンマ数秒の反射神経で利益をもぎ取る。 刺激的でした。自分の読みが当たり、莫大な利益が出た時の高揚感は、何物にも代えがたいものでした。
しかし、数年続けるうちに、心の奥底に「虚しさ」が芽生え始めました。 ディーリングの世界は、誰かが勝てば誰かが負ける「ゼロサムゲーム」です。 「私が利益を得た裏で、誰かが損をしている」この仕事を続けて成功しても、歳をとった時に自分の人生を誇れるだろうか。
その疑問が限界に達した時、私は決意します。 短期的な「ゼロサム」の奪い合いではなく、ウォーレン・バフェットのように長期的な「プラスサム」の投資の世界で成功したい、と。
転機:2つの「強烈な発見」
そんな私が債券ディーラーを引退し、株式投資にのめり込む決定的なきっかけとなったのが、「債券投資の視点」と「科学技術の知見」が奇跡的にリンクした瞬間でした。
1.「株式=債券」という発見
ある日、『バフェットの銘柄選択術』という本の中で、「株式とは、利回り(クーポン)が変動する『債券』である(Equity Bond)」という概念に出会いました。
これには雷に打たれたような衝撃を受けました。 多くの人が「夢」や「ギャンブル」だと思っていた株式投資が、私の得意な「債券数理」で説明できたからです。
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「1株あたりの企業の利益」を「債券のクーポン」に見立てる。
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その利回りが、国債のリスクフリーレートに対して十分高いか(スプレッドがあるか)を計算する。
「なんだ、これはいつも私がやっている仕事(金利計算)と同じじゃないか」 この瞬間、不確実だった株式市場が、数式で解ける「論理の世界」に見え始めました。
2.「技術的な優位性(Moat)」への興奮
さらに、バフェットが説く「競争優位性(Moat)」という概念にも強烈に惹かれました。 長期にわたって1株あたりの利益を増やし続けることができる企業というのはなんらかの圧倒的な競争優位性を持っています。では、「その競争優位性の本質はなんなのか?」
多くの投資家はこれを「ブランド」などの曖昧な言葉で片付けますが、私は理系のバックグラウンドを使って、その中身を技術的にも分析することに魅せられました。
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「Microsoftが強いのは、OSとクラウドの連携部分に、他社が模倣不可能なAPIの複雑性(ロックイン)があるからだ」
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「この半導体企業の利益率は、特許に守られた微細化プロセスの物理的な優位性によるものだ」
「債券ディーラーとしての冷徹な金利感覚」×「元理系研究者としてのテクノロジーへの知見」。 この2つを組み合わせることで、市場のノイズに惑わされず、「本質的な価値」が見える。その知的興奮こそが、私が今も投資を研究し続ける原動力です。
親になって知った「時間」の尊さ
プライベートの私はというと……お恥ずかしながら、稼いだ分だけ散財するタイプでした。仕事のストレスもあり、浴びるように酒を飲む日々。
しかし、子供が生まれて、世界が一変しました。
小さな我が子を腕に抱いた時、強烈な責任感がのしかかってきました。 「この子が大人になった時、自分は何を残せるだろうか?」 「お金のためにあくせく働く姿ではなく、自由で豊かな生き方を見せたい」
そこで初めて、本気で自分の「個人の資産」と向き合いました。 守るべきものができた時、投資も育児も、最も重要なのは「複利」と「時間」だと痛感したのです。
無駄な支出を削ぎ落とし(倹約)、その種銭を、自分が理解できる「最強の優位性をもつ企業」に投じる。 あとは、複利の力に任せて、浮いた時間を子供との思い出作りに充てる。 これが、私が辿り着いた究極のライフハックです。
私たちが目指す「Life Hack」とは
現在、私は以下の3つの軸で、資産と人生を運用しています。このブログでは、その記録を皆さんにお届けします。
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テクノロジーの「堀」を科学する 流行りの銘柄に雰囲気で飛びつくのはギャンブルです。理系の視点で、技術的な参入障壁やビジネスモデルの持続性を徹底的に分析します。
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株式を「債券」として値踏みする 元債券ディーラーの視点で、金利やマクロ経済環境を考慮し、「今、リスクに見合うリターンがあるか?」を論理的に解説します。
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資産と体験の「複利」を最大化する 投資で得たリターンを、子供の教育や家族の体験、そして自分の知識に再投資する。お金を増やすことだけがゴールではありません。
最後に
仕事に、育児に、家事に。 ほとんどのサラリーマンには、デイトレーダーのように相場を監視する時間もなければ、膨大な技術書を読み込む暇もありません。
だからこそ、このLife Hack Labを使ってください。
難解な企業のテクノロジーや、プロが見ているマーケットの世界は、私が噛み砕き、翻訳します。 あなたは、その情報をインプットし、ご自身の資産形成と人生設計のヒントにするだけです。
私と一緒に、資産を育て、時間を生み出し、人生をハックする実験(ラボ)を始めましょう。