【米国株】バフェット購入のアルファベット(GOOGL)|AI時代の「競争優位性」を徹底分析

米国株・企業分析

※この記事は、元債券ディーラーのCappiが執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

皆さん、最近スマホで調べ物をする時、どうしていますか?

「最近はChatGPTに聞くことが増えたな…」 「そういえば、Google検索を使う回数が減ったかも?」

正直なところ、そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。 ニュースを見ても「AIの進化でGoogleの検索独占は終わる」といった、Googleにとってネガティブな話題ばかりが目につきます。「Googleはもう、オワコンなのかな…」なんて不安がよぎるのも無理はありません。

ところが2025年、そんな世間のムードを真っ向から否定するような「事件」が起きました。

あの投資の神様、ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイが、なんとGoogle(アルファベット)の株を大量に買い始めたのです。

これまで「よく分からないテクノロジー株には手を出さない」と言われてきたバフェットが、なぜ今、あえて逆風が吹いているように見えるGoogleを選んだのでしょうか?

「安いから買った」? いえ、そんな単純な話ではありません。

実は、Googleの中身をレントゲンのように透かして見てみると、ニュースでは語られない「AI時代でも絶対に崩れない強固な城壁(堀)」が浮かび上がってくるのです。

今回は、世間の悲観論とは裏腹に、バフェットが確信したであろうGoogleの「本当の強さ」と、あまり知られていない「技術的な秘密」について、分かりやすく解説します。

これを読めば、明日からGoogleの検索窓を見る目が、ちょっと変わるかもしれませんよ。

なぜバフェットは今、アルファベット(GOOGL)を買ったのか?

2025年11月中旬。ウォール街が固唾を飲んで見守る中、公開されたBerkshire Hathawayの保有銘柄リスト(13F) そこに記されていたのは、市場の予想を裏切る名前でした。

新しくポートフォリオに加わった、ITの巨人、アルファベット(GOOGL)

「バフェットが、あのGoogleを?」

市場関係者が驚いたのには理由があります。バフェットは長年、「自分が理解できない(未来が予測しづらい)テクノロジー企業には投資しない」というスタンスを貫いてきたからです。 そんな彼が、AIという不確実性のど真ん中にいるGoogleを選んだ。これは、彼の投資哲学における歴史的な転換点と言えるかもしれません。

歴史的な「資金シフト」:AppleからGoogleへ

このニュースの衝撃をさらに大きくしたのは、同時に行われていた「もう一つの動き」でした。

バフェットは、自身のポートフォリオの絶対的エースであり、長年の相棒でもあったApple株(AAPL)を静かに売却し、その資金の一部をGoogleへと振り向けていたのです。

これは何を意味するのでしょうか?

Appleは、世界一のブランド力を持つ素晴らしい企業です。しかし、そのビジネスモデルの根幹は「iPhoneというハードウェアを数年おきに買い替えてもらうこと」にあります。世界中でスマホが行き渡った今、ここからの爆発的な成長は簡単ではありません。

対してGoogleは、AI、データ、検索といった「目に見えないインフラ」を支配しています。 バフェットは、次の10年を勝ち抜くための「価値の源泉」が、「形あるモノ」から「形なき知能(AI・データ)」へと決定的にシフトしたと判断したのではないでしょうか。

この資金の大移動は、単なる銘柄の入れ替えではなく、時代の変化を捉えたバフェットの「遺言」とも取れる、重みのあるメッセージなのです。

「みんなが恐れている時」こそ買う

なぜ、このタイミングだったのでしょうか?

2025年、市場では「ChatGPTの台頭でGoogleの検索独占は終わる」「AI開発競争で利益率が下がる」といった悲観論が蔓延していました。多くの投資家が「Googleは危ない」と株を投げ売りし、株価は本来の実力(稼ぐ力)よりも安く放置されていました。

しかし、ここで思い出してほしいのが、バフェットの有名な格言です。

「他人が貪欲な時に恐れ、他人が恐れている時に貪欲であれ」

みんなが恐怖に駆られて逃げ出している時こそ、本質的な価値が変わっていない優良企業をバーゲン価格で仕込む、千載一遇のチャンス。

バフェットは、市場のノイズに惑わされることなく、Googleの持つ「本質的な競争優位性(堀)」が、AI時代でも揺るがないと冷静に見極めたのでしょう。今回の購入は、まさに彼の「逆張り」の投資哲学の真骨頂であり、私たちへの「答え合わせ」でもあるのです。

AIはGoogleの「検索独占」を崩せるか?

「でも、やっぱりChatGPTとか便利なAIが出てきたら、Google検索なんて使わなくなるでしょ?」

そう思うかもしれません。しかし、Googleには検索窓の裏側に、他社がどれだけお金を積んでも真似できない「2つの鉄壁の守り」があります。

守り①:YouTubeという「最強のデータ図書館」

Googleの強みは検索だけではありません。世界最大の動画サイトYouTubeがあります。 実はこれ、AI時代において「石油」のような価値を持っています。

AIを賢くするには、良質なデータ(教材)が大量に必要です。テキストだけのデータなら他社も持っていますが、「世界中のあらゆる動きや音声を記録した動画データ」を独占的に持っているのはGoogleだけです。

  • 料理の手順

  • 車の修理方法

  • スポーツのフォーム

これらをAIに学習させられるのは、YouTubeを持つGoogleだけの特権です。この**「データの質と量」**の差が、AIの性能差に直結します。

守り②:インターネットの「料金所」ビジネス

バフェットは、生活する上で誰もが通らざるを得ない「橋(有料ブリッジ)」のようなビジネスを好みます。

インターネット広告において、Googleはまさに巨大な料金所です。 たとえAIチャットが普及しても、企業が商品を売りたい時、世界中のユーザーとマッチングできる最大の場所は依然としてGoogleのプラットフォームです。この「広告主とユーザーをつなぐハブ」としての地位は、AIが登場しても簡単には揺らぎません。

【技術解説①】Gemini 3の衝撃:AIの歴史を変える「ネイティブ・マルチモーダル」

ここからは、Life Hack Labらしくテクノロジーの深層へ潜ってみましょう。 決算書の数字だけを見ていては気づかない、エンジニアリングの裏側にこそ、バフェットを「Google買い」へと突き動かした真の凄みが隠されています。

まず、バフェットも注目したであろう「AI(ソフトウェア)」の進化について解説します。 2025年11月に登場した最新モデルGemini 3。これがなぜ、AI業界の勢力図を塗り替える「ゲームチェンジャー」と呼ばれるのか?

その理由は、AIの**「脳の構造」**そのものが根本的に違うからです。

① 「つぎはぎ」ではない、純粋な脳

これまでの多くのAIは、実は「フランケンシュタイン」のようなつぎはぎ状態でした。 画像を見るための「目のAI」、音を聞く「耳のAI」、そして言葉を話す「口のAI」。これらを別々に作って、後から無理やりつなぎ合わせていたのです。 そのため、「画像を見て→文字に変換して→理解する」という伝言ゲームのような処理が必要で、どうしても情報のロス(翻訳ミス)が起きていました。

しかしGemini 3は違います。生まれた瞬間から、テキスト、画像、音声、動画、プログラムコードを「一つの脳」で同時に理解します。これを「ネイティブ・マルチモーダル」と呼びます。

🐱 違いの例:「YouTube広告の革命」

  • 「従来のAIは、動画の『タイトル』や『タグ』しか見ていませんでした。しかしGemini 3は、動画の中身(映像・音声)を丸ごと理解します。」

  • 「例えば、YouTuberが動画内で『このキャンプギア便利だな〜』と呟いたその瞬間に、画面下にキャンプ用品の広告を出すことができます。」

  • 「これにより、Googleの広告単価(クリック率)は劇的に改善する可能性があります。これがAIによる収益化の正体です。」

② 圧倒的な記憶力:「数千冊の本」を一瞬で読む

Gemini 3のもう一つの武器は、「コンテキストウィンドウ(一度に扱える情報量)」の巨大さです。

従来のAIが「直前の会話しか覚えていないニワトリ」だとしたら、Gemini 3は「図書館の本を丸暗記しているシャーロック・ホームズ」です。 分厚い専門書数千冊分、あるいは数時間の映画の全データを、まるごと一度に読み込んで処理できます。

💼 ビジネスでの活用例 例えば、企業の分析をしたい時。「過去10年分の決算資料(PDF)」と「投資家向け説明会の録音データ(音声)」を全てGemini 3に放り込み、「社長の発言に矛盾がないか洗い出して」と指示すれば、数秒で完璧な回答が返ってきます。

③ 「おしゃべり」から「行動」へ:真のエージェント機能

そして今、Gemini 3は単なるチャットボット(話し相手)を超え、「優秀な秘書(エージェント)」へと進化しました。

ここでGoogleの強みが炸裂します。GoogleはAndroid(スマホのOS)を持ち、Gmail、カレンダー、マップといった「ツール」を全て持っているからです。

✈️ 「来週の旅行の計画を立てて」と言うだけで… Gemini 3は、スマホの中で勝手にアプリを立ち上げ、以下の作業を完結させます。

  1. Gmailからフライト予約を探し出す。

  2. 現地の天気を調べ、雨なら屋内スポットをYouTubeで探す。

  3. 同行者のカレンダーを確認し、マップでレストランを予約。

  4. 全てをまとめた旅のしおりを作成。

MicrosoftやOpenAIもAIそのものは作れますが、「スマホの中身(OSやアプリ)」まで支配しているのはGoogleだけです。 AIが手足を使って「行動」する時代において、このプラットフォームの壁は、他社が絶対に奪えない城壁なのです。

【技術解説②】秘密兵器「TPU」とインフラ:他社が真似できない「物理的なハードウェア」

どんなに賢い脳(Gemini 3)があっても、それを動かすためのハードウェアが弱ければ意味がありません。 実はここから紹介する「ハードウェアの強さ」もバフェットを安心させた要素だと考えられます。

① 秘密兵器「TPU」:自前のF1マシンで戦う強み

多くのAI企業は、NVIDIAという会社から「GPU」というAI用チップを1個数百万円という高値で買って使っています。いわば、高額なショバ代を払っている状態です。

しかし、Googleは10年以上前から「TPU (Tensor Processing Unit)」というAI専用チップを自社で開発・製造しています。

分かりやすく、カーレースに例えてみましょう。

  • 他社(Microsoft/Meta等): 既製品の高級スポーツカー(NVIDIA GPU)を、高いレンタル料を払って借りてレースに出ている。

  • Google: 自分たちのコースに合わせて設計した、自作の最高級F1マシン(TPU)で走っている。

この違いは、「AIを動かすコスト(電気代や維持費)」に劇的な差を生みます。 最新のTPU v6 (Trillium)は、圧倒的な省電力と処理能力を誇ります。検索やYouTubeのように「無料でAIを使わせて広告で稼ぐ」ビジネスモデルにおいて、この「原価の安さ」は、利益率を守る最強の盾になります。

② 物理インフラ:インターネットの「道路」を所有する

最後に、Googleはソフトウェア企業と思われがちですが、実は世界最大級の物理インフラ企業でもあります。

世界中の海に張り巡らされた海底ケーブルの多くに、Googleは自ら出資し、所有しています。 これは、インターネットという世界の裏側にある「道路」そのものを自分たちで持っているようなものです。

スタートアップ企業がいくら優秀なAIプログラムを書いたとしても、この地球規模の「物理的な道路」を今から構築することは不可能です。 データセンターから海底ケーブルまで。バーチャルとリアルの両方を支配するこの構造こそが、Googleの難攻不落の「物理的な堀」なのです。

驚異的な「お金持ち企業」としての側面

技術的な凄さについては十分語りましたが、Googleにはもう一つ、投資家を惹きつけてやまない魅力があります。 それは、「呆れるほどにお金を持っている(財務体質が鉄壁である)」という点です。

実は、この「お金の使い方」の変化こそが、バフェットをGoogle購入へと突き動かした決定的な要因かもしれません。

潤沢な現金が生む「自社株買い」

Googleは、検索やYouTubeの広告ビジネスで、毎日とてつもない金額の現金を稼ぎ出しています。サーバー代や人件費を払い、AIへの巨額投資を行っても、まだ使い切れないほどの現金が手元に残るのです。

では、その余ったお金をどうするか? ここで登場するのが、バフェットが大好きな**「自社株買い」**です。

これは文字通り、会社が市場に出回っている自分たちの株を、自分のお金で買い戻して消却(この世から無くすこと)してしまう行為です。これがなぜ、私たち株主にとって嬉しいのでしょうか?

🍕 「ピザ」で想像してみてください ある会社の価値が「1枚のホールピザ」だとします。 これまでピザは8等分されていて、あなたは「1切れ(1株)」を持っていました。

ここでGoogleが自社株買いを行うと、ピザの切り分け方が変わります。 全体の大きさは変わらないのに、8等分だったピザが、6等分、4等分……と減っていくのです。

するとどうでしょう? あなたは何もしていないのに、手元にある「1切れのサイズ(価値)」が勝手に大きくなっていきますよね? 利益を分け合うライバル(他の株主)の数が減ることで、1株あたりの利益(EPS)が自動的に跳ね上がる。 これこそが、Googleが巨額のキャッシュで行っている「魔法」なのです。

ついに始まった「配当金」!複利のスイッチON

もう一つ、投資家にとって歴史的な変化がありました。それは「配当金」の開始です。

長年、Googleなどのテック企業は「儲かったお金はすべて次の成長(設備投資)に回すから、配当は出さない」というのが常識でした。 しかし、Googleはついに株主への現金配当をスタートさせました。

これは何を意味するのか? 「AI用のスーパーコンピュータやデータセンターに何兆円も投資しまくっても、まだ株主に現金を配れるくらい、余裕で儲かっている」 という、圧倒的な自信の表れです。

バフェットは、コカ・コーラのように「持っているだけでチャリンチャリンとお金が入ってくる株」を愛しています。なぜなら、入ってきた配当金を再投資すれば、雪だるま式に資産が増える「複利(ふくり)の効果」が働くからです。

  • 守り: 巨額の「自社株買い」で株価を下支えする。

  • 攻め: 「配当金」で株主に現金を還元する。

この「株主還元のダブルエンジン」が点火した今、Googleは単なる「成長企業」から、バフェット好みの「持っているだけで安心できる大人の企業」へと進化したと言えるでしょう。

まとめ:アルファベットは「買い」か?バフェットが認めた「AI要塞」の真価

長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。 今回の分析を通じて、Google(アルファベット)という企業のイメージは変わりましたか?

市場では毎日、「AI戦争でGoogleが負ける」「ChatGPTが検索を奪う」といったニュースが飛び交っています。 しかし、そんなノイズの嵐の中で、投資の神様ウォーレン・バフェットは静かに、しかし大胆に「買い」の決断を下しました。

なぜなら、彼には見えていたからです。ニュースの見出しの奥にある、Googleの難攻不落な「要塞」の姿が。

最後に、私たちがGoogleを長期保有すべき理由を、3つの「壁」として整理しましょう。

🏰 理由1:技術の壁(最強の脳と体)

Googleはただの検索エンジンではありません。

  • 脳(Gemini 3): 動画や音声をそのまま理解する「ネイティブ・マルチモーダル」な知能。

  • 体(TPU & インフラ): 自社開発のチップと地球規模の海底ケーブル。 この「脳と体」の垂直統合は、他社が今から真似しようとしても10年はかかる、圧倒的な技術的優位性です。

💰 理由2:お金の壁(鉄壁の財務)

  • 自社株買い: 潤沢な現金を使って、ピザ(株式価値)を凝縮してくれる魔法。

  • 配当金: ついに始まった現金還元。 「成長投資」と「株主還元」の両方を、世界最大規模で同時に行える企業は、地球上に数えるほどしかありません。

🤝 理由3:バフェットの「お墨付き」

そして何より、あの慎重なバフェットが「割安(安全域がある)」と判断したという事実。これは、私たち個人投資家にとって、暗闇の中の灯台のような安心感を与えてくれます。

Life Hack Labからのメッセージ

短期的な株価は、AIに関するちょっとしたニュースで乱高下するかもしれません。 しかし、「要塞」の土台は揺らいでいません。

むしろ、市場がAIリスクを過度に恐れて株価が下がった時こそ、この「技術の巨城」のオーナーになる絶好のチャンスかもしれません。 数年後、「あの時、バフェットと一緒に買っておいてよかった」と笑える日が来ることを信じて、どっしりと構えていきましょう。

▼ Life Hack Labの「GAFAM徹底分析」シリーズ

こちらのはいかがでしたか? 投資判断の精度を高めるには、ライバル企業との比較が欠かせません。ぜひ他のGAFAMの記事もご覧ください。


Disclaimer: 本記事は情報の提供を目的としており、特定の証券の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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